YellowCat たろうに聞いた!!

君の胸で香箱座りをしていたあの頃、僕はただ咽を鳴らしていただけではなかった。この世界の意味を、ずっと考えていた。アスファルトの焼ける匂い、彼岸花が咲いた用水路、速度超過した黒いクラウン、僕の毛が付いたブレザー。君が知っていたものも、知らなかったものも、ずっと見てきた。そして、考えてきた。君が生きるこの世界の意味を。その答えを、ここに、示したいと思う。

ハローワークは、モンハンだった。

 先日、初めてハローワークを利用した。ここ数年電車の広告に頻出するようになった某起業の転職エージェントのようなものを想像していたが、ハローワークは、そのような親切なものではなかった。

 まず、対話がない。仕切られた狭隘な空間で、同じ空気を共有しながらもそこでなされる人的交流はハローワーク側にとって最低限のものに限られる。希望の収入や勤務地など基本的な条件を告げると、そこから弾き出される求人票を次々と目前に積まれる。私の場合、15枚ほどいただいただろうか。これをただ呆然と受け取ると、もう既に彼らの役割は終わっている。応募したいものがあればまた言ってください、と出口の方に誘導される。

 モンハンの集会場だ、と感じた。彼らの仕事は、我々ハンターが受注することのできるクエストをただ提示するだけだ。どのクエストに挑むか判断するのは、我々ハンターだけに課された課題なのだ。そこに、彼らの意見を求めることはできないし、ましてや判断そのものを委ねるなど不可能なのだ。

 それは決して悪いことではなく、本来あるべき就業支援の形なのかもしれない。自分の人生は、自分で決めていくものなのだ。どの武器を選び、どんな防具を纏い、何を狩りにいくのか。そのくらい、自分で考えなければ、自分の人生を生きているとはいえないだろう。

 そう考えると、求人票もクエストに見えてくるから不思議だ。ベトナム語ネイティブレベルで月収20万そこそこなど、なかなか渋い条件のクエストが多い。山菜狩りのような安易に見えるクエストはやはり報酬も低いし、あまりに条件がよいクエストは途中でティガレックスが降ってくるのではないかと身構えてしまう。

 せめて有能なアイルーがいれば、と思う。