YellowCat たろうに聞いた!!

君の胸で香箱座りをしていたあの頃、僕はただ咽を鳴らしていただけではなかった。この世界の意味を、ずっと考えていた。アスファルトの焼ける匂い、彼岸花が咲いた用水路、速度超過した黒いクラウン、僕の毛が付いたブレザー。君が知っていたものも、知らなかったものも、ずっと見てきた。そして、考えてきた。君が生きるこの世界の意味を。その答えを、ここに、示したいと思う。

欠落と物欲

 物欲が無いのだ。何か欲しいものあるかと問われても即答できない。この世界にそういうモノ好きがいるのか私にはわからないが、私に贈り物をしようとする者がいるのであれば、ひどく困惑するだろう。

 なぜ私はものを欲しがらないのだろう。今のこの生活になんら欠落感を持たずにいるのだろうか。日常に満たされている、幸福といえる者ならば確かに物欲は湧かないのかもしれない。私は、日常に満たされてはいないから、それはわからない。欠落感を抱えている。それも、物質的なもので解消し得ることが不可能なほどの、精神的な、甚大な欠落を抱えているが故、物欲が後退しているのだと、私は思う。

 好人物に、例えば君のような者から、欲しいものはないのかと問われたときには即答できるような屈託の無い猫でいたい。

 日常を変えたい。私は、私の輪郭に沿わない枠を選んでしまった。ところどころが削れ、若しくは隙間が生じ、私の日常は流血と隙間風に塗れてしまった。君には、不幸に見えるかもしれない。少し前の私も、不幸だと感じていた。しかし、痛みや疼きは感じるが、不幸であるかはまた別の問題なのだ。君には難しいかもしれない。現実と認識の問題についてはまた、機会があれば君に説きたいと思う。ただ、私は、私の現実を変えていきたいのだ。それだけを、君に、言いたかった。

 今年のクリスマスには、欲しいものを考えておくよ。君もまた私に、教えておくれ。